たましいの洗い場

中塩博斗のブログです。

ハマったゲーム

 スマホゲームで、私が特に好んでプレイするものといえば、シンプルで自己完結的なものばかりだ。現在私の携帯には、マインスイーパソリティアという孤高の傑作ゲームが二つと、そして、Idle系ゲームと呼ばれる類のものがいくつかインストールされている。今回はそのうちの一つである『Exponential Idle』というゲームについて書く。

 

 そもそもIdleゲームというのは、言い換えればいわゆる放置ゲームである。難しい操作を求められるこことはないし、基本的にプレイヤーがやることといえば、何時間か何日か毎に思い出したようにゲームを起動してポチポチ何らかのボタンを押して画面を眺めるだけである。こう説明すると一つも面白くなさそうなのが誠に遺憾ではあるが、私が今日までプレイしてきたIdleゲームの総数がなんとおそらく約100種にものぼるという事実から、一人の成人男性をここまで没頭せしめるある種の中毒性を有しているということは推察されたい。


 本題の『Exponential Idle』というゲーム、タイトルは直訳すると「指数関数的な放置ゲーム」である。ただ、例えば遊園地の経営をテーマとしたIdleゲームのように、序盤には1000円程度だったチケット収入が、日が経つ毎に気づけばウン垓(がい)円になっていたというまさに指数関数的な成長を遂げるものは多々ある。というかIdleゲームの醍醐味というのはそういうバカみたいな数字に触れることができる痛快さにあると言える。しかし、Exponential Idleは一味違って、何かを経営したり怪物を育成したりするでもなく、「指数関数そのもの」を扱うという、究極のIdleゲームだといえる。

 

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 指数関数そのものを扱う、とはどういうことか。ゲームを起動して画面を見れば一目でわかるはずだ。大きめに表示される「f(t+dt)=f(t)×e^bxdt」という数式とグラフ、その下部に並ぶ何らかのパラメータ。要はそのパラメータをいじって数式を成長させていくゲームである。基本的にはこれしかない。しかし殺風景な感じではなく、個人的にはむしろ、コンクリート打ちっぱなしの建物のような無機質な趣をたたえた見事なデザインであると思う。私のような数学に特に精通しているわけでもない人間でも(だからこそ、と言えるかもしれないが)、このゲームの醸し出すアカデミックで数学的な雰囲気には痺れる。何より、数式の意味するところを理解する必要はなく、ただパラメータを適当にいじっているだけでデカい数を見ることができるのがありがたい。電車でゲームを開いて、難しそうな顔でポチポチ画面を触りながら運良く隣の人に覗かれちゃった暁には、私を才気あふれる数学科の学生だと誤認してくれないだろうかという妄想に浸ることも可能である。


 私はこのゲームを半年間ほど毎日プレイしていた。しかし、先日魔が差してしまいスマホ内の時間を10年先に設定してゲームを先に進めるというチートまがいのことを試みた結果、しっかり対策されていて10年間ゲームをフリーズさせられて遊べなくなるという目に遭って、泣く泣くリセットする羽目になり、そのうちに飽きてアンインストールした。注意していただきたい。